世界のエフェクター通にこそ評価が高く、当CULTオーナーである私(細川)もベスト・オーバードライブペダルの1台に必ず挙げるのが、BJFE Honey Bee ODです。その生産初期の音色を再現したものが、“Retro”バージョンとなります。
Honey Bee OD(以下、HBOD)の発売は2002年末。以来、現代に至るまで常にBJFEの定番機種として君臨し、少数のみの製作を続けながら、その出荷台数は1,000台を超えるほどの人気となっています。その中でも初期生産品は特に音が太く、濃厚であり、逆に後年にかけて、その音色は淡白となり、それに比例して使いやすくなっていきました。近年のHBODも扱いやすく、とても魅力的ではあるのですが、あえてCULTではマニアックなRetroをオーダーしてみました。
そもそもHBODは、Suproのコンボアンプが持つ音色からインスピレーションを得て作られたとされる、ローゲイン・オーバードライブです。Suproアンプそのままの音色ではないながら、周波数帯域の下から上までワイドレンジ感があり、ギターに対するナチュラルな追従性や反応も含めて、多くのオーバードライブペダルと比べれて遥かにアンプライクです。聴覚上の歪み量は、最大でもせいぜいTS系の半分程度。アンプのサチュレーション風の味を付けたり、自然なコンプ感とともに音をまとめるプリアンプのような意図で使う方法が一般的です。
このHBOD Retroはその謳い文句の通り、最初期HBODのような強い低域を具えていますが、Natureコントロールのセッティングによって低域の強さを良い塩梅に押さえれば、最初期の音色だけでなく、評価の高いシリアルナンバー300〜600前後の中期HBODのような質感、そして近年の乾いた質感も再現できました。実はこのRetroが最も守備範囲の広いHBODなのかもしれません。
なお、巷でBJFEと比較されることの多いOne Control、Bearfootなどの近似品、そして近い回路であるMad Professor Sweet Honey Overdrive(以下、SHOD)も存在しますが、主観ながら、それぞれでBJFE HBODとは似て非なる音色であることをここにあえて書かせて頂きます。BJFEのHBODは、One Control、BearfootのHBODと比べると分離感に優れ、レンジも広く、SHODと比べると太く、高域側の倍音が少ない音色です。いずれも個人の好みや用途で選ぶべきではありますが、前述の選択肢どの中では最も素朴な質感のものがBJFE HBODと言えるでしょう。
明るめな音色のオーバードライブがお好きな方にはあまりお勧めできませんが、ペダルギークであれば必ず一度は感じていただきたい音色、1台です。
一般的な9V電池(006P型)、適切に整流された外部9VDC電源(アダプター、パワーサプライなど)に対応しています。 10V以上の電源でのご使用はお控えください。故障の原因となります。
※ BJFEブランドを牽引するビルダー Björn Juhlの手作業によって1台1台作られており、塗装の濃淡、金属の研磨によって生まれる表面の模様には個体差があります。また、塗装のムラ、垂れ、小さなカケなどは入荷時からのものであり、すべての個体において共通です。外見上の要因を理由にする返品は承りかねますので、予めご了承ください。