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BJFE

Pale Green Compressor

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レギュラー価格 ¥77,000
Pale Green Compressor
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CULT取扱商品の購入に対して、明らかな転売業者からの介入があったため、この商品の販売は抽選方式とさせていただきます。購入を希望される方は2021年 7月11日(日)〜 7月18日(日)の期間中に以下のお申し込みフォームにてご応募いただき、厳正なる抽選の結果、当選された方にご購入いただく形となります。

抽選販売のご応募はコチラをクリック/タップしてお進みください

 

塗装のムラ、欠け、細かな傷などがありますが、BJFE全製品に共通する特徴です。これらが理由による返品、返金にはお応えできかねます。

以上、あらかじめご了承くださいませ。

 

スウェーデンの首都、ストックホルム近郊に現代のペダルギークを熱くさせる、とあるエフェクター・ビルダーが工房を構え、活動しています。その名は“Björn Juhl ”。BJF の愛称でも知られる、まさに鬼才という言葉が相応しい独創的な考えを持ったエフェクター・ビルダーです。自身の名を冠したBJFE(Björn Juhl Förstärkar Elektronik)を2000年に創設し、現在まで休みなく活動を続けていますが、輸入代理店が長らく無かった期間もあり、日本での知名度はさほど高くありません。しかし対照的に、海外での知名度は非常に高く、抱えるバックオーダーの多さから、オーダーから実際に品物を受け取るまでに1年以上を要した例すらもあるのです。それゆえに中古市場での価値が10万円以上のモデルが多数あり、中には20万円を超える価格で取引されるモデルも一般的に知られています。

BJFEのラインナップはオーバードライブやディストーションなどの一般的な歪みから、フェイザー、トレモロ、ヴァイブ系、ディレイ、イコライザーに到るまで、多岐に渡ります。しかし、一貫して独創的な発想からなる回路設計、ユニークな素子の使用など、エンジニアリングの視点から新しい試みを行い、その上で古くから親しまれる良音を実現する理念はどのモデルも変わりません。この先進的な方法論と旧来の優れた音色の融合こそ、スウェーデンで生まれ育った Björn Juhl が生来具えている北欧的思想の現れであり、アメリカや日本のビルダーにはない素性であると考えられます。

余談ですが、CULTでも製品を取り扱っているLeqtiqueのビルダー、Shun Nokinaはこの北欧に根付く先進的な思考に惹かれ、20代前半の間の多くの時間をBJFEペダルの研究に費やし、現在では同じくスウェーデンのギターブランドであるStrandbergの総代理業務を務めるにも至っています。

そんなBJFEのラインナップ中にはDyna Red Distortion、Honey Bee OD、Baby Blue OD、Aqua Marine Wonder Machineなど、数多くの伝説的モデルがありますが、同様に伝説を作り上げているモデルのひとつがこのPale Green Compressorです。

▲CULTが所有するPale Green Compressor


このPale Green Compressorはスーパー・ナチュラルなレンジ感からなる音色、そしてギター用としては理想に最も近いとも言われる絶妙なコンプ感を具えた、オプト・タイプのコンプレッサーです。その起源は意外にも古く、1987年まで遡ります。その当時、Björn Juhl はBeatlesのトリビュート・バンドに所属しており、バンド内で必要に迫られてコンプレッサーを設計したのですが、そのコンプレッサーは工房の棚の奥にしまわれたままとなっていました。しかし、2000年代前半にあるセッションギタリストが工房を訪れた際、棚にしまってあったそのコンプレッサーを発見し、それがリファインされてPale Green Compressorとなったのです。

Björn Juhl はその当時にBeatlesのカヴァーするにあたり、まず不要となる超低域をカットし、他のコンプレッサーにありがちな高域の解像度の劣化、アタックの鈍化を防ぐ設計を目指したと言います。当初はコントロールノブが2つのみ(Volume、Comp)でしたが、のちにトーンコントローラーを必要とする声に応え、特徴的な“Body”コントロールを備えた3ノブ仕様が完成しました。

Bodyコントロールは12時方向を中心とし、時計回り方向では高域のロールオフを促すと同時に低域をわずかに足し、太く柔らかい音色を作ります。逆に反時計回り方向では煌びやかな高域のまま低域を太く、レンジが広がったような音色を作り出します。これらの効果は音色の微調整とともに、アンプや他の機材で生まれてしまう、特定の周波数での歪みを軽減させる狙いもあったといいます。

そのモデル名の由来となった塗装の色は Björn Juhl が若い頃に人気のあったアイスクリームの色を模したものであり、淡い緑色のニトロセルラッカー系の塗料が採用されていました。しかし、このカラーは2002年に早くも変更となり、シースルー系の深い緑色の塗装が採用されるとともに、モデル名も“Pale Green”から“Pine Green” Compressorに変更となります。つまり、Pale Gree Compressorは1〜2年の間、わずかな数しか作られなかったのです。

▲最も左がニトロセルラッカー塗装のPale Green(後年に作られた特別仕様の可能性あり)、最も右がPine Green、中央がその過渡期に作られたPale Green。


ここまで読んでいただいた皆様としては、まずPale GreenとPine Greenとの具体的な違いが気になることでしょう。もちろん、この文章を書いている私(CULT 細川)も気になり、 Björn Juhl 本人に尋ねたことがありますが、「 両者の回路に大きな違いはなく、別物としては捉えていない 」というのが  Björn Juhl の回答でした。しかし、Pale Green Compressorに採用されていたカスタムオーダー品のフォトセル(オプティカルコンプに使用される光源と受光体が組み合わさった部品)、Bodyコントロールに使われていた単軸二連ポット(近年のPine Green Compressorが4knob仕様になった理由はここにあります)、そして淡い緑色の塗料はすでに手に入らず、今まで再生産されることはありませんでした。

これら3つの失われたPale Greenの要素のうち、2つを特別に調達し、CULT 細川と Björn Juhl 本人との密なやり取りによってPale Green Compressorを復刻、世界でもCULTでのみの販売が実現したのです。 



Björn Juhl が入手を諦めていた単軸二連ポットと同じスペックのものを調達し(秋葉原では普通に売っていました。/ ※ 今回の入荷分はBJが調達したものを使用 )、初期Pale Greenとそっくりに調色された塗料で塗りつぶされた筐体の上に手書きの“Pale Green Compressor”の文字。

フォトセルは近年のPine Greenと同仕様の Björn Juhl お手製のものを使用していますが、CULT 細川の要望により、フォトセルの感度を調整できるように変更。CULTが所有するPale Green Compと比較し、コンプ感やドライブ感などの差が少なくなるように1台1台調整してから出荷されます。
(※トリマーは調整後に樹脂で隠すため、購入後は調整できません)

そのレンジ感、コンプ感はあまりにも自然なため、原音と違いがないようにすら感じてしまいますが(それもまた凄いことですが)、エフェクトをバイパスした瞬間、大きな喪失感を覚えるのです。コンプレッサーとしての優劣を超えた、ずっとオンにしていたいエフェクト、それがPale Green Compressorです。

このコンプは僕が知る中で最も理想的なギター用コンプレッサーです。Roger Mayer RM58、dbx MC6、Katana Sound 青線、そしてヴィンテージのMXR dyna comp、Ross Compressorなど、素晴らしいコンプレッサーは多くあります。しかし、ギター用としてはここまで理想的なコンプ感を覚えるものは他にありません。アタックタイムやリリースタイムなどのコンプレッサーとしての基本的なパラメーターが非常にセンス良くまとめられており、Compコントロールをどの位置にしても快感的な弾き心地を得られるように作られているのです。その上で出て欲しくないところが消え、出て欲しいところが盛り上がったような、完璧に整理されたレンジ感が加味され、それを魔法のようなBodyコントロールによって微調整することも可能です。
 オリジナルのPale Green Compressorは市場に出れば10万円近くで取引されたこともありますが、そもそもあの素晴らしいコンプを手放す人間はほぼいないでしょう。 Björn と直接、何度もやりとりし、やっとこの幻の、しかし最高のコンプを復刻することができました。不定期に少ない数が入ってくるような状態となりますが、ぜひみなさんに試していただきたい逸品です。
CULT 細川
▲2018 winter NAMMにて。左が Björn Juhl 、右がCULT 細川。

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