世界初のコーラスペダルとして1976年に誕生し、現在ではもはや説明不要の名機として語られるBoss CE-1が入荷いたしました。内部のパーツと仕様から、1978年前後に作られたと推測される個体です。
まさに後発のコーラスペダルのお手本となった回路を内部に備え、原音とピッチ・モジュレーション・サウンドをミックスして作るコーラスモード、ピッチ・モジュレーション・サウンドのみを出力するヴィブラードモードを装備。それらをフットスイッチで切り替えることが可能です。意外にもコーラスモードでは揺れの速度(Speed、Rate)は固定されており、逆にヴィブラートモードにはピッチの揺れの幅を決めるDepthコントロール、揺れの速度を決めるRateコントロールが用意されています。内部回路にあるBBD素子の安定性に考慮してか、電池では動作せず、本体に備え付けられている電源ケーブル使用し、コンセントなどから給電します。
CE-1ならではの特徴は数多くありますが、特に重要なファクターはインプットバッファー部分でしょう。CE-1はギター以外の楽器での使用を想定していることもあり、現代の多くのギター用エフェクターと比べて、インプット・バッファー部分の構造が異なります。結果として、そのインプット・バッファー部分で起こる音色への色付けが非常に強く、(良くも悪くも)CE-1を繋げただけで音色のキャラクターが大きく変化します。そして、そのバッファー部分がCE-1全体のキャラクターを支配している様にすら思えます。そして、そのバッファー部分の音色には、大きな個体差が存在します。
この個体はまずバッファー部分の音色がアッサリ目であり、ON/OFFそれぞれの音色共に淡麗な印象です。同時に入荷している1979年製の個体と比べるとその差は明らかで、好対照と言えます。温かいと言うより綺麗なコーラス、そんな印象。実際に比べると異なりますが、t.c.electronics SCF+をイメージさせるような、垢抜けた音色のCE-1です。
日本向けに生産された個体で、100Vでの使用が可能です。サウンドシステムに収納するため、電源ケーブルが短縮されているものも多く見られますが、発売時のままの長さを保った個体です。High/Lowスライドスイッチ、Levelコントロールにガリが出やすくなっていますが(1970年代のCE-1では特に出やすい症状です)、内部を清掃し、現状では使用に差し支えない範囲となっています。