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2007年〜2013年の間の短い活動期間ののち、突如として沈黙。その後、2020年に“MOTHER”を携えて衝撃的な復活を遂げた伝説のドメスティック・ペダルブランド Phantom fx。2022年には新たにSabbath “Black Gaze”を約200台の限定で発表し、その完成度の高さと独創的な音色で話題をさらいました。
そして2023年、新たな形態に進化したSabbathが、Bliss(至福、最上の幸せ)の名の下に登場です。
Sabbathはもともと、Phantom fx が2007年に発表したデビュー作、
コントロールはVolumeのみのファズペダルでした。轟音と驚異的なタッチレスポンスの速さが特徴であり、入荷のたびに日本中のギークが秒単位の闘いを繰り広げ、即完売を繰り返していました。
▲CULTが所有する2008年製のSabbath
その後、さらにハイゲイン、ハイスピードとなったSabbath Black Gazeを経て、今回辿り着いたSabbath Blissは、ファズ本来のコアとなる音色によりフォーカスして作られています。Phantom fxを主宰する戸高 賢史氏の言葉を借りれば、「Sabbathのカタルシスとブリティッシュファズが持つセンシティブなニュアンスの邂逅」が大きなコンセプトのひとつとなります。
コントロールは正面左からMaster、Filter、Dirtの3つ。中でも注目すべきはDirtコントロールです。このDirtは歪み量を広い範囲で調整するもので、最大では従来のSabbathシリーズ以上となるハイゲイン・サウンド、そこから下げていけばオーバードライブのように使えるほどまで歪み量が下がります。歪み量に幅を持ったSabbathは今までなく、これはシリーズ史上最大の変化、進化と呼べるでしょう。Masterは音量の調整で、最大では超爆音。Filterは高域のフィルタリングするコントロールで、この部分の回路もブリティッシュファズの影響を受けたものだそうです。
これまでのSabbathは一貫してBig Muff系を意識して作られた音色でしたが、このBlissではその方向性が大きく変わり、Tone Bender Mk.IIやシリコントランジスタのFuzz Faceを想起させるような、荒く毛羽立ったようなファズサウンドとなっています。従来のキメの細かいディストーション的な音色ではなく、少しゲート感があり、芯に原音が残ったような音色。歪みの質感は過去のどのSabbathとも大きく異なります。これは戸高氏が近年、Tone Bender、Fuzz Face、Buzzaroundなどのイギリスで生まれたファズの音色に傾倒していることに影響しているのでしょう。
▲近年、戸高氏が愛用しているブリティッシュ系統のファズペダル
しかし、不思議なことにSabbath Blissの回路は過去のSabbathと大きくかけ離れているわけではありません。
「Sabbathの回路のまま、ブリティッシュファズの要素を持った音色が再現されている」
このことがいかにユニークであるか、ディープなペダルファンの方であれば理解できるでしょう。具体的には、Sabbath Blissの回路は前作であるSabbath Black Gazeを元にしています。
Sabbath Black Gazeはトランスを使用したピックアップシミュレーション回路を増設していましたが、Sabbath Blissではその回路を廃し、従来のSabbathに近い回路に回帰しています。初期のSabbathの回路と比べるとFETを使用したバッファーが増えていますが、それは音の決め手になっているのではなく、音色の安定性のために作られたものとのことです。
その内部には、Phantom fxで製作を手がけるEgawa氏の美しい作業が見られます。コンポーネントが美しく配置された
ユニバーサル基板と、各機構部品を繋ぐ見るからに頑強な配線。高い耐久性の実現とともに、修理のしやすさを重視した設計です。
採用されたコンポーネントも今まで以上に豪華です。Iskra、ITT、Wima、Teslaなど、ヨーロッパ製のヴィンテージコンデンサーを多く採用。抵抗はDaleの高精度金属皮膜と、ヴィンテージの名品であるAllen Bradleyのカーボンコンポジション。これらの特性、特徴を使って、Sabbathの中にブリティッシュファズ的ニュアンスを作り上げています。そして最重要コンポーネントであるトランジスタ、FETは、すべて戸高氏本人によって選定されたものとなります。
電源は安定化された9VDC(2.1mm センターマイナス)、006P 9V電池に対応しています。
今作 Sabbath Blissは、過去のPhantom fxファン、今回新たにPhantom fxを知られた方、どちらも驚かす音色を具えていると思います。今までのSabbathと比べると、全く新しい方向性の音色。あのオルタナを極めたファズにイギリス生まれのヴィンテージエッセンスが宿るとは、誰が予想したでしょうか。しかしその音色は、単にファズとして非常に優れているように思います。
実際にCULTでもヴィンテージのブリティッシュファズとも比べていますが、ヴィンテージファズにある音の荒さ、音の立体感(質の低いリイシューファズは平坦な音に聴こえます)、音の汚れとも言えるようなクセ、これらがSabbath Blissに宿っているのです。しかし、Sabbathらしさが無いわけではないのです。
轟音オルタナファズとヴィンテージブリテッシュムードの融合。ぜひお試しください。
CULT 細川