手作業によるその精巧な造りで、国内はもとより海外でもその名を知られる日本のブティック・ブランド“Noel”。そのNoelが作る、普遍的で汎用性の高いオーバードライブペダルがこの“infini”です。
その回路は近年のトランスペアレント系とも、クラシカルなオーバードライブとも取れる、中性的なものです。そしてその音色の特徴もまさにそれ相応であり、普遍的、同時に個性的でもあります。あえてオールドスクールなオペアンプを選び、その増幅と秘密のダイオードを組み合わせて作られる歪みを主とし、そこに余計な要素を足さず、そのままアウトプットまで導きます。伝統的なオーバードライブペダルにある入出力のバッファーも省かれており、その分、弾き手の感覚がダイレクトに歪み、タッチが隈なく出力されるような感覚を覚えます。
コントロール類は“Level”、“Overdrive”、そして“Edge”の3つ。中でもトーンコントローラーであるEdgeはその名の通り、高域の切れ味、音の輪郭を操作するような、一般的なトーンコントローラーよりもピンポイントで効果する、Noelらしい硬派なものです。
ポータブル・オーディオの分野で高い評価を得ている廃番品のコンデンサー“MKT1826”や、同じくオーディオの分野で人気のある抵抗“RN55”などがこのinfiniの骨格となる明瞭な音色を作り、逆に古い設計をそのまま残しているオペアンプ“MC1458”や、Noelが好んで使用する独自のLEDが核となる、心地良いバイト感を具えたキャラクターを決めているように思います。
最大ゲインは一般的なオーバードライブよりも高く設定されていますが、相反してギター側のボリュームへの追従性が良いため、歪み量が多い状態でもギター側のボリュームでクリーン、クランチサウンドを作ることが可能です。
今回のCULT Specialiseのみ、Overdriveコントロールの効き方を変更し、ミドルゲイン程度で使用できる範囲を通常仕様よりも広げてあります。また、使用するハンダを指定したことで、通常仕様よりもわずかにミドルが膨よかな質感になっています。
そして、通常仕様であるパールホワイトカラーではなく、CULT特別仕様として、ラピスラズリ、翡翠、2種類の天然石を模したフィニッシュを用意しました。いずれも、Noelを主催するエフェクタービルダー、Sho Iwata氏によるハンドフィニッシュです。
新型コロナウィルスの影響により、必要なパーツが日本に届かないことが多い中、NoelのビルダーであるSho Iwata氏が所有しているパーツのみで作れるエフェクターとして、このinfiniとVorteをオーダーしました。
もともと音作りにわずかながら携わっていたモデルですので、その音色に全く異存はありませんでしたが、その外観はレギュラーなものではなく、Cornet CULT Specialiseの為に編み出された、天然石を再現したフィニッシュで作っていただきました。あくまでもこの騒動の中でのイレギュラーな限定仕様です。ぜひ、お見逃しなく。
CULT 細川
Noelを主催するSho Iwata氏のインタビュー記事もぜひ、併せてご一読くださいませ。
※1台1台が手作業によって塗装されており、個体によって表面の模様が異なります。表面の模様を理由とする返品はお受けでき兼ねますので、予めご了承ください。