1969年製と思われる中期型のMarshall Supa Fuzz。プリント基板を使用した時期の個体です。
初期Supa FuzzはSola SoundのOEM品であり、外見は違えどTone Bender Mk.IIと同じ基板を共用していました。しかし、1968年にSupa Fuzzは内部の基板、そして外観とが同時に大きく様変わりします。さらに1970年ごろにはMarshallロゴとモデル名の表記がシルクスクリーン印刷からエンボス加工となり、この2つの大きな変化を境に、当ページでは前期型、中期型、後期型と呼びます。(さらに細かく分けることができますが、今回は割愛します)
※手前が前期型、中央が中期型(今回入荷した個体)、奥が後期型
この個体は、前期型から筐体と基板が替わり、さらにその中でも基板がストリップボードからプリント基板へ替わったあとの時期のもので、その仕様から1969年ごろに作られたと推測されます。
初期Supa Fuzzの基板はTone Bender Mk.IIそのものであるため、いわゆるMk.IIらしいファズサウンドを具えていますが、中期以降のSupa Fuzzは少し歪みのキメが細かく、ディストーション的な要素を持った個体が多いように思います。この個体ももれなくディストーション的要素を感じる歪み方を具えており、非常に扱いやすく感じます。
内部は数カ所に手が入っており、実用されていた個体であることを思わせます。まず、3石あるトランジスタのうち、2段目のトランジスタが別年代のOC75、3段目のトランジスタが型番不明のゲルマニウムトランジスタに交換されています。オリジナルは3石すべてがメーカー/ブランドの表記がないOC75です。3段目のトランジスタは型番こそ不明ですが、ヨーロッパ製のヴィンテージ品と思われます。また、配線材が1箇所、電池スナップが交換されています。なお、オリジナルの電池スナップは当時主流だったPP4型の電池に対応したもののため、交換されていることが一般的です。FILTERコントロールポットの取り付け穴が拡大されていますが、ポットはオリジナルであり、加工された意図は不明です。
気兼ねなく使えるヴィンテージファズトーンと考えれば、非常に使い勝手が良い個体と言えるのではないでしょうか。トランジスタ交換のせいか、わずかにオーバードライブに寄ったバランスの良いトーンに感じます。動作は問題ないため、ぜひ実用していただきたい個体です。パーツ交換などを考慮した価格となっています。