CULTの代表を務める細川雄一郎と、Leqtique、L'の代表を務め、同ブランドの全製品の設計を担当するShun Nokina氏。その二人の間にある長年のパートナーシップから生まれた、CULT限定のアイテムです。
2012年に発売されたLeqtiqueとして2作目となったエフェクター“Maestoso”は、その当時に流行していたTS発展系に終止符を 打つべく開発された、TS系へのLeqtiqueなりの回答というべきものでした。純粋なTS系エフェクターでは十分でない低域を増強し最大ゲインを圧倒的に拡張することで、典型的なTSサウンドとは対照的なモダンなドライブサウンドを会得しました。また、 Analog Devices社の高性能OPアンプ“AD712”を始めとする、ハイエンドコンポーネンツを惜しげも無く使うことにより、 いかなるセッティングにおいても音のスピード感、クリアな再生レンジを確保しています。
そのMaestosoをさらに進化させるべく、新たに“Low Cut”コントローラーを追加したのが、このCULT限定発売となる “Maestoso Supreme”です。Low Cutコントローラーは、Leqtiqueの別ブランドであるL’のMaestosoにも搭載されていましたが、両者でその回路構成は異なります。このMaestoso Supremeで採用されたLow Cutは、よりナチュラルな可変域を実現し、 アナログオーバードライブならではのオーガニックな質感を作り出すことに貢献しています。
Low Cutコントローラーは、反時計回り方向へ回し切った状態では一切機能せず、通常のMaestosoと全く同じ音色となります。 そこから時計回り方向へ回していくことで、徐々に低域の量感を減らしていきますが、このLow Cutコントローラーの最も大きな特徴は、それが回路上でドライブセクションの前段に配置されているということです。ドライブセクションの前段で低域をカットすることで、ドライブセクションへのインプットレベルを減退させ、低域の量感とともに歪み量を減らすことが可能です。つまり、Low Cutコントローラーを操作することで、Maestosoの設計段階で増強されていた歪み量と低域の両方を減らし、一般的なTS系の音色へ近づけることができるのです。それはつまり、『TS発展系』の音色から『純TS系』の音色にコマを戻すようなコントローラー、ともいえるでしょう。ハイゲインで野太い音色のMaestosoを、よりシンプルなTS系オーバードライブペダルとしても使用可能になったのが、この Maestoso Supremeなのです。
〜設計者 Shun Nokina 氏より〜
極めてコンセプチュアルというべき、Maestoso, Roger, Caeruleum Lightdrive HDに一つノブを加えるという行為は、謂わば形而的なアプローチで、それぞれの持つ“音”というものをより現実的に触れることに一歩近づくことだと考えます。CULT 細川氏の秀逸なAdditional 1Knobの選択は自分のそれとは異なる故(MAT以外)、名ばかりではない最高のコラボレーションペダルが生まれたと思います。
TS Modifiedというコンセプトに対する僕のキャリア初期の回答がこのエフェクターでしたが、既にL’ MATで好評の“Low-Cut”を違うカーブ感、周波数帯域の選択により、追加しました。TS Modified ⇄ TSの橋渡し的な歪み成分の変化要素もあり、Maestosoの堂々とし過ぎたキャラクターに“柔”の要素を加えた、ペダルボード上のオールラウンドなリーダー的歪みだと思います。
Shun Nokina
Leqtiqueを主催するShun Nokina氏のインタビュー記事もぜひ、併せてご一読くださいませ。
※本製品の配色は全ての個体で同様ですが、表面の模様は1台ごとに異なるため、実際にお届けできる商品は掲載された写真と同一ではありません。ご注文の際に外観の指定はできかねます。また、主要な部分以外に使われるコンポーネントは、予告なしに変更される場合がございます。あらかじめ、ご了承ください。